墓じまいとは?費用相場・手続き8ステップと後悔しない進め方を解説

- 墓じまいとは、現在のお墓を撤去し墓地の使用権を返還して遺骨を別の場所へ移す手続きで、行政用語では「改葬」にあたる。
- 遺骨を移すには、今の墓地がある市区町村長の改葬許可が必要になる。
- 墓じまいの費用は墓石撤去・閉眼供養・離檀料・改葬先費用などに分かれ、全国一律の公的な相場は存在しない。
- 墓じまいは親族への相談から始め、納骨先決定、改葬許可取得、撤去工事、納骨の順に進む。
- 離檀料に法的な金額基準はなく、寺院との関係や地域で変わる。
墓じまいとは?意味と増えている理由をわかりやすく解説

墓じまいとは、今あるお墓を撤去して墓地の使用権を返し、遺骨を別の場所に移して供養することです。
言葉だけ聞くと「お墓をなくす」と思われがちですが、実際は遺骨の引っ越しに近いものです。私が父の墓じまいを進めたときも、最初に役所で言われたのは「それは改葬の手続きですね」という一言でした。
墓じまいと改葬の違い
墓じまいと改葬は、ほぼ同じことを指しています。
厚生労働省の案内では、遺骨を別の墓地や納骨堂などへ移すことを「改葬」と呼び、これを行うには現在の墓地の所在地を管轄する市区町村長の許可が必要だと定められています。
つまり「墓じまい」は日常的な言い回し、「改葬」は手続き上の正式名称、と分けて考えると分かりやすいです。書類には必ず「改葬」と書かれているので、覚えておくと役所でも戸惑いません。
墓じまいが増加している背景
墓じまいが増えている根っこには、お墓を継ぐ人がいない・遠くて通えないという事情があります。
私が取材で会った方の多くは、地方に実家のお墓があり、自分も子どもも都市部で暮らしているケースでした。年に一度の墓参りすら難しい。そうなると「このままでは無縁仏になる」という不安が現実味を帯びてきます。
放置されたお墓は、いずれ管理者によって整理される可能性もあります。元気なうちに自分の手で行き先を決めておきたい、という動機が墓じまいを後押ししています。
墓じまいで誰がどんな判断をするのか
墓じまいの判断は、お墓の使用権を持つ承継者が中心になって進めます。
ただ、勝手に進めると後でもめます。実際に決めるのは「どこへ移すか」「いつやるか」「費用を誰が負担するか」の3点。私の場合、ここを兄と母にきちんと共有しないまま動きかけて、一度ひやりとしました。
墓じまいの進め方8ステップ
墓じまいは、親族相談→納骨先決定→改葬許可取得→撤去・納骨という大きな流れを8つのステップに分けて進めます。

順番を飛ばすと手続きが止まります。特に改葬許可は、新しい納骨先が決まっていないと申請できません。全体像を先に頭に入れておくと、無駄足が減ります。
| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 親族間で相談し同意を得る | 費用負担と納骨先の方針を共有する |
| 2 | 必要な手続き・書類を確認する | 現墓地の市区町村に問い合わせる |
| 3 | 墓地管理者に意志を伝える | 寺院墓地なら離檀の相談もここで |
| 4 | 新しい納骨先を決める | 受入証明書をもらう必要がある |
| 5 | 改葬許可証を取得する | 市区町村長の許可が必須 |
| 6 | 閉眼供養と遺骨の取り出し | 僧侶による魂抜きを行う |
| 7 | 墓石の撤去・使用権の返還 | 石材店が解体・更地化する |
| 8 | 新しい受入先へ納骨する | 改葬許可証を提出する |
親族への相談と同意を得る
最初にやるべきは、お墓に関わる親族への相談です。
これは手続きというより、墓じまい全体の土台になります。後から「聞いていない」と言われるトラブルは、ここを丁寧にやれば大半が防げます。
私は、兄に費用の見積もりを見せ、母には「ご先祖さまをどこに移したいか」を先に聞きました。数字と気持ち、両方を共有しておくと話が早いです。
墓地管理者へ意志を伝え新しい納骨先を決める
親族の同意が取れたら、墓地管理者に墓じまいの意志を伝え、同時に新しい納骨先を探します。
寺院墓地の場合、管理者は住職です。離檀(檀家をやめること)の相談もこの段階で出てきます。いきなり「やめます」ではなく、事情を正直に話すのが穏便に進めるコツです。
納骨先は、改葬先の種類に応じて受入証明書などの書類が必要になります。墓地・納骨堂・合葬墓などが想定されており、ここが決まらないと次の許可申請に進めません。
改葬許可証の取得など行政手続き
墓じまいの行政手続きの核は、現在の墓地がある市区町村から改葬許可証を取得することです。
厚生労働省の案内では、改葬許可申請に一般的に必要なのは、改葬許可申請書・埋葬や収蔵の事実を証する書類・改葬先の受入証明書などです。書類の様式や呼び名は自治体ごとに異なります。
私が手続きした自治体では、申請書に現在の墓地管理者の署名欄がありました。役所に行く前に、管理者に記入をお願いしておくと二度手間になりません。窓口に行く前の電話確認を強くおすすめします。
閉眼供養・遺骨の取り出しと墓石の撤去・納骨
許可証が手元に揃ったら、閉眼供養をして遺骨を取り出し、墓石を撤去して新しい納骨先へ納めます。
閉眼供養は「魂抜き」とも呼ばれ、僧侶にお墓の魂を抜いてもらう儀式です。これを済ませてから石材店が解体に入ります。
撤去後は墓所を更地にして使用権を返還します。そして取り出した遺骨を、改葬許可証とともに受入先へ納骨。ここまでで墓じまいは完了です。
墓じまいにかかる費用の相場と内訳
墓じまいの費用は、墓石撤去・閉眼供養・離檀料・改葬先費用の合計で決まり、民間情報では総額30万〜300万円程度と幅があります。

正直に言うと、この幅の広さが一番不安の種でした。なぜここまで違うのかというと、墓所の広さ・寺院との関係・新しい納骨先のタイプで、各項目が大きく動くからです。
墓石撤去・行政手続きなど費用の内訳
費用の中でまず大きいのが、墓石の撤去工事です。
民間情報では、墓石撤去工事は1㎡あたり約10万〜15万円が目安としてよく示されます。これは公的な基準ではなく、墓所の広さや立地、重機が入るかどうかで変わります。
閉眼供養は3万〜10万円程度、離檀料は3万〜20万円程度と説明されることがあります。いずれも民間解説の数字で、全国共通の料金ではありません。行政手続きの手数料は自治体によりますが、数百円〜数千円と比較的小さい部分です。
| 項目 | 目安額 | 備考 |
|---|---|---|
| 墓石撤去工事 | 1㎡あたり約10万〜15万円 | 広さ・立地で変動 |
| 閉眼供養(魂抜き) | 約3万〜10万円 | 僧侶へのお布施 |
| 離檀料 | 約3万〜20万円 | 寺院・地域で差が大きい |
| 改葬先費用 | タイプにより大きく異なる | 合祀は安く一般墓は高い |
墓所タイプ・地域による相場の違い
墓じまいの総額は、新しい納骨先のタイプで大きく変わります。
合祀墓のように他の方と一緒に埋葬する形は費用が抑えやすく、新しく一般墓を建てるとその分高くなります。撤去費用も、都市部の狭い区画と地方の広い区画では条件が違います。
地域差については、エリアごとの墓じまい情報をまとめたページも参考になります。最終的には、現地で見積もりを取らないと正確な数字は出ません。私も電話の概算と現地見積もりで、金額が変わりました。
離檀料の相場とトラブルを避ける支払いのコツ
離檀料には法的な金額基準がなく、お布施の性格が強いお金です。
民間解説では3万〜20万円程度とされますが、寺院との関係や地域で変わります。ここで一番怖いのが、高額請求のトラブルです。
私の経験では、最初に「これまでお世話になりました」と感謝を伝え、墓じまいせざるを得ない事情を正直に話すと、住職も無理を言いませんでした。お金の話から入るのではなく、関係を大事にする姿勢を先に見せること。これが一番のトラブル回避策だと感じています。
費用を抑える方法と補助制度の有無
費用を抑えるなら、合祀墓や公営施設の検討と、複数の石材店からの相見積もりが現実的です。
永代供養墓や納骨堂には公営施設もあり、利用条件は自治体ごとに異なります。民間より費用が抑えられる場合があるので、お住まいの自治体の募集を確認する価値はあります。
補助金については、全国共通の制度は確認できていません。あるかどうかは自治体次第なので、「墓じまい 補助 +市区町村名」で調べるか、役所に直接聞くのが確実です。無い数字を期待しすぎないほうがいいです。
墓じまい後の納骨先・供養方法の選び方

墓じまい後の納骨先は、永代供養墓・納骨堂・合祀墓・樹木葬・散骨・手元供養などから選びます。
選ぶ基準は「お参りしたいか」「費用を抑えたいか」「管理の手間を残したくないか」。ここがはっきりすると、候補は自然と絞れます。
永代供養墓・納骨堂・合祀墓の特徴
管理を寺院や施設に任せたいなら、永代供養墓・納骨堂・合祀墓が候補になります。
永代供養墓は、寺院や施設が継続して供養・管理してくれる形です。納骨堂は屋内に遺骨を収蔵するので、天候を気にせずお参りできます。
合祀墓(共同墓)は他の方の遺骨と一緒に埋葬する形で、費用は抑えやすい反面、一度納めると遺骨を取り出せません。ここは後で「やっぱり戻したい」が効かないので、家族とよく話してください。
樹木葬・散骨・手元供養の特徴
お墓という形にこだわらないなら、樹木葬・散骨・手元供養という選択肢があります。
樹木葬は墓石の代わりに樹木を墓標とする方法。散骨は遺骨を粉末にして海などに撒く方法です。どちらも自然に還すイメージで選ばれます。
手元供養は、遺骨の一部を自宅で保管したり、ペンダントなどに納める形。私の母は「全部はさみしい」と言って、一部を手元供養にして残りを合祀しました。組み合わせができるのも知っておくと安心です。
複数の遺骨がある場合の選び方と費用の考え方
古いお墓には複数の遺骨が入っていることが多く、その分だけ費用と手続きが増えます。
納骨堂や一般墓は基本的に収蔵数で料金が決まるため、遺骨が多いほど高くなりがちです。一方、合祀墓はまとめて埋葬できるので、複数の遺骨があるときに費用を抑えやすい選択肢になります。
全員を同じ場所にするか、一部を手元供養にするか。遺骨の数を先に確認してから納骨先を決めると、見積もりがぶれません。
